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巻第四 「一磋」
敵を探す彰炎達の後ろに2人の野臥がいた。
そのうちの一人は口元をスカーフのようなモノで覆っている男で、
もう一人は顔全体をスカーフで覆っているため男か女の区別が付かない。
「ちっ。後ろへ回られたか!!二人とも気をつけろ!」
いち早く気付いた彰炎は刀を抜きながら俊輔と大吾に言う。
「後ろに!?」
俊輔が振り向くと同時にかを全体をスカーフで覆った野臥が
俊輔に向かって走ってきていた。
そしてそいつは俊輔に体当たりするようにしてさらっていった。
「うわあー!!」
「あ!あのバカ・・・」
走り去っていく野臥を見ながら大吾が言った。
「お前か。零十狼」
残った方の野臥に向かって彰炎は言った。
そして大吾も刀を抜き、構えたその瞬間、零十狼は消えた
そして一瞬のうちに彰炎と大吾の後ろに回り込んだ。
「今日こそは頂くぞ彰炎。華の五代名刀桃華をな」
「やれやれ相当俺のことが嫌いらしいな」
それに動じることなく冷静に言う彰炎。
そして俊輔はと言うと野臥にさらわれて、そのままかつがれていた
その野臥はまだ山の中を走っており、俊輔はそれに必死に抵抗していた。
「やめろ!はなせよ!俺を食ってもうまくねーぞ!」
「うるさいぞ。へなちょこ俊輔」
その野臥はしゃべった。どちらかというと女にちかい声だった
「うわああああ!」
バシャッ!
そして俊輔は川に落とされた。
「痛つつつつ」
「相変わらずだなァ泣き虫俊輔」
そういいながら野臥はスカーフをとる
その野臥は肩くらいまでの髪をした女だった。いかにもいじめっ子という感じだ
「あっ・・・あぁ・・・ウソだろお前・・・一磋!?」
「うわぁぁぁ!いっ生きてたのかよお前!」
「勝手に殺すな。またいじめるぞ」
「いやぁぁ」
俊輔は相当ビビっている様子だった。
その女は一磋と言って、俊輔の幼なじみだった
「お前といた時は楽しかったぜ。なァ!?お前でいろいろと実験してみたもんナァ」
その時俊輔の頭には過去に一磋にいじめられたときの記憶があった。
「やめろ!思い出したくない!!」
「お前この山で兄貴と鬼に殺されたんじゃねーのかよ!?なんで野臥になってんだ!!」
「兄貴は死んだよ。でも俺は零十狼様に助けられた」
「それから俺は零十浪に惚れて十二神党伐折羅に入ったんだ」
「十二神党は鬼を滅ぼすためにそれぞれ十二カ所で武器を集めているのさ」
「十二神党伐折羅?なんだよそれ」
俊輔は尋ねた。
「お前には説明してもわかんねーだろ」
「師匠は伐折羅の頭・・・お前あの二人のことを心配したらどうだ?」
そのころ零十狼は彰炎達に向かって刀を構えていた。
(こいつの動き・・・ありえねえ!!何だコイツ)
大吾は心の中で思っていた。
「新顔だな小僧お前も彰炎と同じ・・・黒い血の臭いがするぞ・・・誰を斬った臭いだ?え?」
零十狼は大吾に向かって言う。
「かまうな大吾。コイツの言うことに耳を貸すんじゃない」
「きらいだなその匂い」
「黙れ!斬るぞ!」
大吾はいつもの冷静さとはうらはらに、ひどく感情的になっていた
「フッそうかいよかろう・・・選ばせてやるどちらで斬られたい?阿形か?吽形か?」
「・・・・・・!!!殺してやる」
大吾はひどく取り乱していた。
そして舞台はまた俊輔達にモドル
「鬼を倒すんならおれ達と一緒にこいよ一磋!わけのわかんないことやってねーでさぁ!」
「やだね。誰がへなちょこと一緒に行くかよ!弱いくせに」
「一磋!!もう俺は三年前の俺じゃねーぞ!へなちょこでもねえ!!」
「俺は鬼を倒した!!お前みたいな男女にはもう負けねェよ!!」
「俺は男だ!!女じゃねえ!!」
男女という言葉にむかついたのか、怒りながら言う一磋。
「ウソつけチンチンついてないくせに!!」
「ついてるよこれっくらいのが」
そういって手で表してみせる一磋。
「い!?・・・ついてんの?女も」
「おっ・・・お前おっぱいふくらんでるじゃねーか!」
「コレはハト胸だ」
「金玉ついてねーだろ!?」
「そんなもんいらんわ」
「じゃやっぱ女じゃねえか!」
「俊輔。俺達はあれから三年経った・・・。」
「互いに少しは大人になったろう。今度はボコボコにするんじゃなく殺り合ってみるか!?」
一磋はそれまでのバカみたいな話を無視して短刀を構えながら言った。
「!!」
俊輔もあせって刀に手を伸ばす。
「なーんてな。バーカびびってやんの」
そういって一磋はくすくす笑い出した
「ホッ」
一磋のその言葉に安心したのか、俊輔は刀から手を離した。
しかし一磋はそのスキを見逃さなかった!
「ウソだバカ!」
そういって一磋は俊輔に殴りかかった。
そんな事態を予想していなかった俊輔は一磋のパンチを顔面に受けその場に倒れ込む。
「てっ・・・テメー何すんだよ!!」
「よくも男女って言ったな。ぼっこぼこにしてやっからな」
そういって一磋は近づいてくる。
「なんでだよ!!敵は俺じゃねーだろ!?」
「お前兄貴を鬼に殺されたんだろ!?同じ目的もってんのに・・・」
「なんでお互いいがみ合わなきゃなんねーんだ!?おかしいだろ!!お前は一体・・・何がしたいんだよ!!!」
俊輔は怒鳴る。
「見ろ!!俺には鬼を倒す切り札が・・・ねえ!!」
俊輔は数珠を見せようとして腕を見せたが、その腕に数珠はついていなかった。
「これのことか?」
そういった一磋の手に俊輔の数珠がついていた。
「あー!!いつのまに!!」
「こーやってやると武器がでるんだろ?」
「かっ返せよ!!ぐばっ」
一磋は数珠を取り返そうとした俊輔を難なく蹴り飛ばし、数珠をいじりはじめた
「あぁ!!」
「おっ!?来た来た」
数珠が輝きはじめた。しかし、輝きかたが妙だ。
そして、何か黒いカゲが数珠の中から飛び出してきた。
そう、鬼の魂である。鬼封じのできない一磋が数珠を持ったことで鬼の魂が解放されてしまったのだ(たぶん・・・)
「たいへんだ!封じた鬼の魂が・・・」
「鬼の・・・魂?」
「どいてろ一磋。もう一度あの鬼を封じなきゃ!!」
「封じる!?何いってんだよ」
「話は後だ!!」
何がなんだか訳が分からない一磋に俊輔は言って、鬼と向かい合った。
「謝ったなガキが・・・一度封じた鬼に再び鬼封じをすることはできないんだよぉ」
外にでた鬼の魂が俊輔に話し始める
「ケッケッケ!!バカな奴!」
「次は本当にお前が鬼になる番だ」
「え?」